所得の種類及び所得計算
更新日:2023年8月17日
所得の種類
事業所得
農業、漁業、製造業、卸売業、サ-ビス業などの事業から生じる所得です。
計算方法
所得金額=総収入金額-必要経費
家内労働者等の所得は、家内労働者等の所得計算の特例があります。家内労働者、外交員、集金人、電力量計の検針員などの所得のある方は事業所得の金額、雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する金額について家内労働者等の所得計算の特例が設けられています。
令和2年度課税まで
実際の必要経費にかかわらず、65万円までの控除が認められます。
令和3年度課税から
実際の必要経費にかかわらず、55万円までの控除が認められます。
不動産所得
地代・家賃等による所得です。
計算方法
所得金額=総収入金額-必要経費
主な注意点
賃借料等の収入の時期
支払日が定められているものはその定められた支払日。支払日の定めのないものは、その支払を受けた日
権利金等の収入の時期
資産の引渡しを要するものは、その引渡し日。引渡しを要しないものは、その契約の効力発生日
返還を要しなくなった敷金等の収入の時期
返還を要しないことが確定した日
事業的規模の判断
貸間、アパ-ト等は10室以上。独立家屋は5棟以上
利子所得
公社債や預貯金の利子、合同運用信託や公社債投資信託の収益分配金などによる所得です。
計算方法
所得金額=収入金額
利子所得は一律源泉分離課税となり、源泉分離課税の対象にならないものは、確定申告により総合課税となります。金銭消費貸借契約によって貸し付けた金銭の利子は、利子所得にならず、事業として行われている事業所得又は雑所得です。
補足:平成28年1月1日以後に支払いを受けるものについては、金融所得課税の一体化による改正により、「公社債等の課税方式の変更」と「損益通算・繰越控除・分離課税制度の変更」が適用されます。概要は平成29年度の住民税改正のとおりです。
配当所得
法人から受ける利益の配当、剰余金の分配、基金利息及び証券投資信託の収益分配などによる所得です。
計算方法
所得金額=収入金額-元本を取得するため要した負債の利子
上場株式等の配当等(個人の大口株主を除く)
上場株式等の配当等(個人の大口株主を除く)については、既に市県民税5パーセント、所得税15パーセントが特別徴収(所得税は源泉徴収)されていますので、原則として申告は不要となります。申告する場合は、総合課税か申告分離課税を選択します(申告した場合は、特別徴収された配当割額相当額が所得割から控除されます)。なお総合課税で申告した場合は配当控除を受けることができ、申告分離課税で申告した場合は株式等譲渡損失との損益通算をすることができます(この場合、配当控除の適用はありません)。
注釈:上場株式等の配当所得等(個人の大口株主を除く)を申告した場合は、その配当所得が合計所得金額や総所得金額等に算入されます。したがって、扶養控除や配偶者控除の適用、非課税判定、国民健康保険税の算定等に影響することがありますので、申告の際はご注意ください。
上場株式等の配当等(個人の大口株主)と非上場株式などの配当等
上場株式等の配当等(個人の大口株主)及び非上場株式等の配当等は金額の多少にかかわらず個人市民税・県民税の申告が必要になります。
給与所得
俸給、給料、賃金、賞与、歳費並びにこれらの性質を有する給与による所得です。
計算方法
令和2年度課税まで
所得金額=収入金額-給与所得控除額
所得税 | 平成25年分から |
平成28年分 | 平成29年分から |
||||
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住民税 | 平成26年度から |
平成29年度課税 | 平成30年度から |
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金額 | 給与収入 | 給与所得 |
給与収入 | 給与所得 |
給与収入 | 給与所得 |
|
0円から650,999円 | 0円 | 0円から650,999円 | 同左 | 0円から650,999円 | 同左 | ||
651,000円から1,618,999円 | 給与収入金額-650,000円 | 651,000円から1,618,999円 | 同左 |
651,000円から1,618,999円 | 同左 |
||
1,619,000円から1,619,999円 | 969,000円 | 1,619,000円から1,619,999円 | 同左 |
1,619,000円から1,619,999円 | 同左 |
||
1,620,000円から1,621,999円 | 970,000円 | 1,620,000円から1,621,999円 | 同左 |
1,620,000円から1,621,999円 | 同左 |
||
1,622,000円から1,623,999円 | 972,000円 | 1,622,000円から1,623,999円 | 同左 |
1,622,000円から1,623,999円 | 同左 |
||
1,624,000円から1,627,999円 | 974,000円 | 1,624,000円から1,627,999円 | 同左 |
1,624,000円から1,627,999円 | 同左 |
||
1,628,000円から1,799,999円 | 給与収入金額÷4(千円未満の端数切捨て)×2.4 | 1,628,000円から1,799,999円 | 同左 |
1,628,000円から1,799,999円 | 同左 |
||
1,800,000円から3,599,999円 | 給与収入金額÷4(千円未満の端数切捨て)×2.8-180,000円 | 1,800,000円から3,599,999円 | 同左 |
1,800,000円から3,599,999円 | 同左 |
||
3,600,000円から6,599,999円 | 給与収入金額÷4(千円未満の端数切捨て)×3.2-540,000円 | 3,600,000円から6,599,999円 | 同左 |
3,600,000円から6,599,999円 | 同左 |
||
6,600,000円から9,999,999円 | 給与収入金額×0.9-1,200,000円 | 6,600,000円から9,999,999円 | 同左 |
6,600,000円から9,999,999円 | 同左 |
||
10,000,000円から14,999,999円 | 給与収入金額×0.95-1,700,000円 | 10,000,000円から11,999,999円 | 給与収入金額×0.95-1,700,000円 | 10,000,000円以上 | 給与収入金額-2,200,000円 | ||
15,000,000円以上 | 給与収入金額-2,450,000円 | 12,000,000円以上 | 給与収入金額-2,300,000円 |
令和3年度課税から
所得金額=収入金額-給与所得控除額-所得金額調整控除額
所得金額調整控除がある場合、下の表で求めた給与所得(給与所得控除後)から控除されます。
所得税 | 令和2年分から | |
---|---|---|
住民税 | 令和3年度課税から | |
金額 | 給与収入 | 給与所得 |
0円から550,999円 | 0円 | |
551,000円から1,618,999円 | 給与収入金額-550,000円 | |
1,619,000円から1,619,999円 | 1,069,000円 | |
1,620,000円から1,621,999円 | 1,070,000円 | |
1,622,000円から1,623,999円 | 1,072,000円 | |
1,624,000円から1,627,999円 | 1,074,000円 | |
1,628,000円から1,799,999円 | 給与収入金額÷4(千円未満の端数切捨て)×2.4+100,000円 | |
1,800,000円から3,599,999円 | 給与収入金額÷4(千円未満の端数切捨て)×2.8-80,000円 | |
3,600,000円から6,599,999円 | 給与収入金額÷4(千円未満の端数切捨て)×3.2-440,000円 | |
6,600,000円から8,499,999円 | 給与収入金額×0.9-1,100,000円 | |
8,500,000円以上 | 給与収入金額-1,950,000円 |
所得金額調整控除
1. 給与収入額が850万円を超え、次のいずれかに該当する場合、給与所得から次のとおり所得金額調整控除が控除されます。
- 本人が特別障害者に該当する
- 23歳未満の扶養親族を有する
- 特別障害がある同一生計配偶者を有する
- 特別障害がある扶養親族を有する
所得金額調整控除=(給与収入金額-850万円)×10パーセント
上記の計算に使用する給与収入金額は1,000万円が上限となります。
2. 給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額の両方があり、それらの合計金額が10万円を超える場合、給与所得から次のとおり所得金額調整控除が控除されます。
所得金額調整控除=給与所得控除後の給与等の金額+公的年金等に係る雑所得の金額-10万円
上記の計算に使用する給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額は、それぞれ10万円が上限となります。
上記の1と2の両方に該当する場合、1の控除後に2を控除します。
譲渡所得(総合分)
資産の譲渡による所得です。(土地建物等、取得価額20万円未満の少額減価償却資産、生活用動産は除く)
計算方法
短期譲渡所得(取得の日以後5年以内に譲渡したもの)=総収入金額-取得費及び譲渡費用-特別控除(上限50万円)
長期譲渡所得(上記以外の譲渡)=総収入金額-取得費及び譲渡費用-特別控除
注釈:長期譲渡所得の場合は、総所得金額を計算する場合において2分の1されます。
一時所得
生命保険契約に基づく満期一時金、損害保険契約に基づく満期返戻金など一時的な収入による所得です。
計算方法
所得金額=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除(上限50万円)
注釈:総所得金額を計算する場合において2分の1されます。
一時所得とは、利子、配当、不動産、事業、給与、譲渡、山林、退職以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいいます。
雑所得
原稿料、印税、講演料、生命保険契約に基づく年金、公的年金などの所得です。
計算方法
次のイとロの合計額
イ(公的年金等の収入金額)-(公的年金等控除額)
ロ(公的年金等に係るものを除く総収入金額)-(必要経費)
注釈:ロが赤字の場合はイより差し引かれます
公的年金等の所得の求め方
下の表で厚生年金、国民年金、恩給等の公的年金の所得が速算できます。
令和2年度課税まで
前年の12月31日の時点で65歳以上の人
公的年金等の収入金額の合計額 | 公的年金等に係る雑所得の金額 |
---|---|
1円から1,200,000円 | 0円 |
1,200,001円から3,299,999円 | 合計額 - 1,200,000円 |
3,300,000円から4,099,999円 | 合計額×75パーセント - 375,000円 |
4,100,000円から7,699,999円 | 合計額×85パーセント - 785,000円 |
7,700,000円以上 | 合計額×95パーセント - 1,555,000円 |
前年の12月31日の時点で65歳未満の人
公的年金等の収入金額の合計額 | 公的年金等にかかる雑所得の金額 |
---|---|
1円から700,000円 | 0円 |
700,001円から1,299,999円 | 合計額 - 700,000円 |
1,300,000円から4,099,999円 | 合計額×75パーセント - 375,000円 |
4,100,000円から7,699,999円 | 合計額×85パーセント - 785,000円 |
7,700,000円以上 | 合計額×95パーセント - 1,555,000円 |
令和3年度課税から
前年の12月31日の時点で65歳以上の人
公的年金等の |
公的年金等に係る雑所得の金額 | ||
---|---|---|---|
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額 | |||
1,000万円以下 | 1,000万円超 |
2,000万円超 | |
1円から 3,299,999円 | 合計額-1,100,000円 | 合計額-1,000,000円 | 合計額-900,000円 |
3,300,000円から 4,099,999円 | 合計額×0.75 |
合計額×0.75 |
合計額×0.75 |
4,100,000円から 7,699,999円 | 合計額×0.85 |
合計額×0.85 |
合計額×0.85 |
7,700,000円から 9,999,999円 | 合計額×0.95 |
合計額×0.95 |
合計額×0.95 |
10,000,000円以上 | 合計額-1,955,000円 | 合計額-1,855,000円 | 合計額-1,755,000円 |
前年の12月31日の時点で65歳未満の人
公的年金等の |
公的年金等に係る雑所得の金額 | ||
---|---|---|---|
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額 | |||
1,000万円以下 | 1,000万円超 |
2,000万円超 | |
1円から 1,299,999円 | 合計額-600,000円 | 合計額-500,000円 | 合計額-400,000円 |
1,300,000円から 4,099,999円 | 合計額×0.75 |
合計額×0.75 |
合計額×0.75 |
4,100,000円から 7,699,999円 | 合計額×0.85 |
合計額×0.85 |
合計額×085 |
7,700,000円から 9,999,999円 | 合計額×0.95 |
合計額×0.95 |
合計額×0.95 |
10,000,000円以上 | 合計額-1,955,000円 | 合計額-1,855,000円 | 合計額-1,755,000円 |
山林所得
山林の伐採又は譲渡による所得です。(5年を超えて保有)
計算方法
所得金額=総収入金額-必要経費-事業専従者控除-特別控除(上限50万円)
退職所得
退職手当、一時恩給、その他退職による一時金などの所得です。
計算方法
1. 勤続年数5年以下の役員等に対して支払われる退職手当等の場合
退職手当等の金額-退職所得控除額=退職所得(1,000円未満切捨)
2. 勤続年数5年以下の役員等以外の方に対して支払われる退職手当等の場合
ア. 退職手当等の金額から退職所得控除額を控除した後の金額が300万円以下の場合
(退職手当等の金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得(1,000円未満切捨)
イ. 退職手当等の金額から退職所得控除額を控除した後の金額が300万円を超える場合
150万円+{退職手当等の金額-(300万円+退職所得控除額)}=退職所得(1,000円未満切捨)
3.上記以外の方に対して支払われる退職手当等の場合
(退職手当等の金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得(1,000円未満切捨)
退職所得控除額
1. 勤続年数が20年以下の場合…40万円×勤続年数(80万円に満たないときは、80万円)
2. 勤続年数が20年を超える場合…800万円+70万円×(勤続年数-20年)
障害者になったことに直接基因して退職したと認められる場合には、上記により計算した額に100万円が加算されます
土地建物等の譲渡所得
長期譲渡所得 譲渡した年の1月1日で所有期間が5年を超えるもの。
計算方法
長期譲渡所得={総収入金額-(取得費+譲渡費用)}-(特別控除)
概算取得費の特例:収入金額の5パーセント相当額とすることができます。(措法31の4)
短期譲渡所得 譲渡した年の1月1日で所有期間が5年以下であるもの。
計算方法
短期譲渡所得={総収入金額-(取得費+譲渡費用)}-特別控除
概算取得費の特例:収入金額の5パーセント相当額とすることができます。
特別控除
特別控除の額は下表のとおりです。
譲渡の態様 | 控除額 |
---|---|
収用などによる資産の譲渡 | 5,000万円 |
自己の居住用財産の譲渡 | 3,000万円 |
特定土地区画整理事業等での譲渡 | 2,000万円 |
特定住宅地造成事業等での譲渡 | 1,500万円 |
平成21年及び平成22年中に取得した土地等を譲渡した場合 | 1,000万円 |
農地保有合理化等のための農地等の譲渡 | 800万円 |
株式等の譲渡所得等
株式等の譲渡による事業所得又は雑所得の金額
計算方法
所得金額=株式等の譲渡に係る総収入金額-株式等の譲渡に係る必要経費
株式等に係る譲渡所得の金額
計算方法
所得金額=株式等の譲渡に係る総収入金額-(株式等の取得費+譲渡費用+借入金利子等)
株式等に係る譲渡所得等の金額
株式等に係る事業所得、譲渡所得及び雑所得の金額の合計額
一般口座や他の証券会社口座での譲渡損益を通算する場合や、譲渡損失の繰越控除の特例を受ける場合(最大3年間)は確定申告が必要になります。また、申告分離課税を選択した配当所得と損益通算及び繰越控除(3年間)をすることができます。
補足:平成28年1月1日以後に支払いを受けるものについては、金融所得課税の一体化による改正により、「公社債等の課税方式の変更」と「損益通算・繰越控除・分離課税制度の変更」が適用されます。概要は平成29年度の住民税改正のとおりです。
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