香取神宮文書が重要文化財に
更新日:2026年3月26日
香取神宮文書を重要文化財として指定するよう答申されました
国の文化審議会(会長 島谷弘幸)は、令和8年3月26日(木曜日)に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、文部科学大臣に対し、「香取神宮文書」等を重要文化財として指定するよう答申しました。
香取神宮では中世に遡る古文書を多数有しており、その他社家資料と合わせて「香取文書」として東国研究史上の重要資料群とされています。今回は香取神宮所蔵の古文書のうち、中世文書を中心に指定されることとなりました。
今回指定資料は、明治期に各社家に伝来していた重要資料を香取神宮で集めた本所古文書や、各社家から香取神宮に奉納された古文書などです。内容は社殿造営記録、社領に関する文書など多岐にわたります。また、江戸時代後期以降の地元関係者を中心とした資料保存の試みを追うこともできます。
これにより、香取市内の重要文化財等は16件、古文書分野としては香取大禰宜家文書に続き2件目となります。
今後、修理が必要な資料もあるため、所有者である香取神宮のほか、文化庁、千葉県教育委員会、専門家と協力して適切な保存に努めていきます。また、市広報や市HPでの指定の周知のほか、毎年開催している文化財講演会でのテーマとして取り上げるなど、市民等に向けた情報提供を進めて参ります。
注釈:当該文化財は通常非公開ですが、資料の一部を千葉県立中央博物館で令和8年5月10日まで公開しています(
令和七年度トピックス展 式年神幸祭記念「香取神宮展」(外部サイト))。なお、香取神宮宝物館は改修工事中で、令和9年秋以降にリニューアルオープン予定です。
指定資料について(文化庁指定答申資料より)
<古文書>
指定名称:香取神宮文書(かとりじんぐうもんじょ)
員数:567通 (15巻、12冊、2幅、143通)
附 香取神宮古文書写 4通(4巻)
所有者:宗教法人香取神宮
千葉県香取市香取1697―1
時代:平安~明治時代
香取神宮文書は、下総国一宮であった香取神宮(香取社)の旧社家等に伝来した香取文書のうち、現在、神宮が所蔵する文書群である。香取文書は、中世東国史研究上の重要史料であり、本文書はこのうちの最もまとまった一括である。
鎌倉から室町時代の中世文書を主体とし、中核となる本所古文書は社殿造営や社領に関する文書、公武発給の文書を含み、下総国一宮としての地位の高さを示すものである。売券類も充実しており、東国中世社会の実態を伝える希有な史料となっている。また、本文書からは江戸時代後期以降の当該地域における史料保存の試行的な取り組みをうかがうことができる。
本文書は、神社史や地域社会史、経済史、法制史、古文書研究上の貴重な史料が数多く伝存しており、学術的価値が高い。また、中世史研究上のみならず、アーカイブス学上においても重要である。

千葉満胤禁制

香取社大禰宜大中臣長房避状
(画像提供:JSPS科研費 20K00941研究代表者 都留文科大学特任教授 鈴木哲雄)
「香取神宮文書」の写真掲載2通について
(1)至徳3年(1386)6月26日 千葉滿胤禁制
重要文化財に指定された「香取神宮文書」の内、明治維新後に大宮司家や大禰宜家等の旧社家から納められてまとめられた「本所古文書(5巻)」の中の1通である。江戸時代までは、大禰宜家文書に含まれていた。
千葉滿胤は南北朝時代の下総国の守護であり、守護の千葉氏が下総国一宮の香取社(香取神宮)の造営と神領(香取神宮の支配地)に対する千葉氏配下の給人(家臣)による狼藉(不法な行為)を禁止し、不法行為者の処罰を香取社に約束した文書である。香取社に与えられたもので、この禁制を得ることで、一宮香取社の造営と神領は守護千葉氏によって保護されている証明となった。「平」は千葉氏の姓で、花押は満胤のものである。
(2)永和元年(1375)10月25日 香取社大禰宜大中臣長房避状
重要文化財に指定された「香取神宮文書」は、「本所古文書(5巻)」と香取神宮の旧社家に伝来した社家文書の内、現在香取神宮が所蔵する文書群である。この文書は、旧要害家文書の中の1通である。要害家の社職は検杖神主職であり、検杖家文書とも呼ばれる。
香取社の大禰宜大中臣長房は、鎌倉時代後期から千葉氏一族の地頭などに奪われた神領を回復し、室町時代以降の下総国一宮としての香取社の再編をした南北朝時代の人物である。その社職である「大禰宜職」は「大宮司(神主)職」に並ぶ中心神職であり、大中臣氏の嫡子に世襲されていた。避状(さりじょう)とは、権利放棄の証文の意味で、ここでは長房の祖父の香取社大禰宜実胤が要害家に売り渡した田地などを、長房が知行している「国行事職」に関わる田地などと取り替えるため、後者の田地を要害家に「避り渡し」たものである。文書の最後に「さり状、如件」と見える。これによって長房は、大禰宜家の私領(私領地)の回復を果たしたのである。長房自筆の文書の可能性が高く、花押も長房のものである。(千葉県『千葉県の歴史 資料編 中世2』2009 36頁参照)
解説:鈴木哲雄氏(都留文科大学特任教授)
都留文科大学学術機関リポジトリ トレイル(外部サイト) 香取文書調査報告書 香取文書の文化財としての保存に向けた基礎的研 2020年度~2023年度 科研費 基盤研究(C)(一般) 研究成果報告書 (課題番号 20K00941)
(鈴木哲雄氏が近年「香取文書」調査を実施した際の報告書にリンクします)
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