カトリノ郷物語vol.23 ちぢみほうれん草
更新日:2017年3月15日
甘味も広がる大輪葉 ちぢみほうれん草
広報かとり平成29(2017)年3月号に掲載された情報です
五喜田 和夫さん(大根)
農機具店に勤めた後、31歳で就農する。主にホウレンソウ、コマツナ、ネギを栽培。10年ほど前から、ちぢみほうれん草の栽培を始め、都内などの量販店や野菜宅配会社などに出荷している。また、昨年から地区の農地利用最適化推進委員を務める。
まだ見ぬ美味しさを語り明かす
「農機具は、簡単なものは自分で直しちゃいますね。トラクターのオイル交換、オイル漏れなんかも自分でやってますよ。普通は、農機具が故障すると農機具店に修理の依頼を電話しますが、私は、壊れた部品の注文で電話するんです」
就農前に、農機具店に勤務していた五喜田さん。自分の農機具の修理のほか、その腕を頼りに、親しい農家は農機具店に見せる前に、まず五喜田さんの所に故障した農機具を持って来るという。
そんな五喜田さんは、農機具店に勤務しながら農家を客観的に見てきた。そして、自分が頑張っただけ成果が出る農業に可能性を感じ、勤めを辞め、農家を継ぐことに。大根地区は、サツマイモ栽培が主力の土地だったが、何か新しい野菜で勝負したいと目を付けたのが、ホウレンソウだった。
早速、借りた畑に種をまいたが、発芽後、間もなく黄色く変色し全滅してしまったという。原因はサツマイモ。弱酸性の土壌を好むサツマイモと違い、ホウレンソウは酸性の土壌を嫌うのだ。その土地が、ホウレンソウに適した土壌になるまで、5年もかかったという。幸先の良いスタートとはならなかったが、ホウレンソウづくりは諦めなかった。
そんな中、ちぢみほうれん草と出会う。出荷先の営業担当者から紹介されたのがきっかけだった。幾種類かのちぢみほうれん草を試した後、甘みの強い今の品種にたどり着いたという。
「これがうちで作っている、ちぢみほうれん草です」
台の上に取り出してくれたのは、大輪の花が咲いたかのように横にずんぐりと広がった肉厚なホウレンソウだった。縦長にすっと伸びた、見慣れたホウレンソウとはまるで違う。
「名前のとおり葉が縮み、横に広がるのも特徴の一つで、種も間隔を空けてまくんです。ハウスと露地で栽培してますが、ちぢみほうれん草は全部露地栽培です。寒さに当てるとぐっと甘みが増すんですよ。消費者からは、甘くて味が濃く、ホウレンソウらしい味がすると言われています。現在、多く出回っているのは西洋ほうれん草だけど、昔ながらの日本ほうれん草のようだと言う人もいましたね。ベーコンと一緒にバター炒めなんかもいいけど、まずはシンプルに“おひたし”で食べてもらいたいですね」
「ホウレンソウは病気になりやすいんですが、農薬、化学肥料を減らして栽培してます。安全・安心でおいしい野菜を安定供給できることが目標です。それに、化学肥料を大量に使うと畑はやせていくんです。次世代を担う人たちにやせた畑をつなぎたくないですからね」
農地の未来に思いをはせ、農地を茂らすホウレンソウに目を細めた。
ちぢみほうれん草
期間限定で道の駅さわらで購入できます。
葉が横に広がった ちぢみほうれん草
寒さに当て甘みを増したホウレンソウを収穫
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