カトリノ郷物語vol.16 水郷梨
更新日:2016年8月15日
利根川の霧が育む 水郷梨
広報かとり平成28(2016)年8月号に掲載された情報です
多田憲一さん(大倉) 旧姓:益田
平成12年に就農し、多田梨園で梨の直売、梨狩りを行う。
水郷梨として幸水、豊水、あきつき、満月などを栽培。小高い丘という立地条件を生かし、利根川から流れる朝霧と夕霧が育てるというみずみずしい梨を出荷する。
まだ見ぬ美味しさを語り明かす
梨の収穫量全国1位を誇る千葉県。香取市も産地として名高い。中でも利根川にほど近い大倉地区は水郷梨として幸水、豊水などを古くから栽培する産地だ。その数ある梨農家の中から、地元大倉小学校の校外活動なども積極的に受け入れ、子どもたちから梨名人と讃えられる多田憲一さんを訪ねた。
この梨園では、梨狩りも行っている。きっかけはやはり子どもたち。
「息子の友達が遊びに来たとき、鈴なりの梨の木に大喜びでね。梨を守るネットに覆われた広々とした梨園の中で、地中から出てきたセミやカブトムシが捕まえ放題となると、それはもう元気に遊んでいましたよ。また、子どもたちは反応が素直なので、おいしいものはお代わりもしてくる。そんな反応を見るのが楽しくてね。梨園に入り、自分の手で梨をもぎ取ってほしいなと思って始めたんです」
そもそも多田さんは九州の出身である。東京で会社勤めをしていたが、義父が亡くなり、妻の実家の多田梨園の存続が危うくなった。梨園は辞める時に梨の木を切るというルールがある。管理できない木が害虫を引き寄せ、近隣にも迷惑をかけるからだ。しかし、多田さんには忘れられない梨があった。名前は「満月」。
「ちょうどお月見の頃に収穫を迎えるこの梨は、黄緑色をした大玉の梨です。初めて食べた時、他の梨と味が全く違うことに驚きました」
その
「やる人がいなければ、自分がやるしかないでしょ」
梨の栽培を義母や地域の生産者の皆さんから教わりながら、もっとおいしい梨をつくるにはどうしたらよいか、多田さんの研究が始まった。ある産地で馬ふん堆肥がよいという話を聞き、市内の乗馬クラブから取り寄せることにしたのもその一つ。お客さんの反応が見たくて、道の駅さわらや観光協会、近所のゴルフ場にも梨を卸し始めた。そのほか、菓子店の梨ゼリーにも使われているそうだ。また、梨の農閑期でもある12月から3月にかけては、自然薯の販売もしているという。
異業種から梨農家へ飛び込んだ多田さんだが、就農の戸惑いもあったことだろう。自身の経験を踏まえ、次のように話す。
「若い人がおもしろいと思えるような農業が大事ですね。県内でも梨の栽培で有名な船橋市、白井市などは若い担い手が多く、梨の産地としての勢いもある。香取市も、山あいや小高い丘の斜面が多く、梨づくりには最適な場所です。今大倉で20軒ほどになった梨農家は、かつては100数軒もあったそうですから。県内外から梨栽培の規模拡大を目指す人々を誘致する対策も必要なのではないかと思います」
たわわに実った梨を収穫し、今年の出来具合に笑顔を見せた。
水郷梨
佐原水郷梨組合の梨農家で直売、宅配を行う。多田梨園では電話予約をすれば梨狩りも実施。
多田梨園
電話:0478-57-1257
たわわに実った梨
幸水
箱詰めされた梨
収穫間近の梨
大玉の幸水
みずみずしい梨
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