カトリノ郷物語vol.19 ベニコマチ
更新日:2016年11月15日
気難しい女王様 ベニコマチ
広報かとり平成28(2016)年11月号に掲載された情報です
平川
5代続くサツマイモ農家を受け継ぐ。“ベニアズマ”と“べにはるか”のほか、栗源の特産品“ベニコマチ”の栽培を再開させる。今春、農協のベニコマチ部会の部会長に立候補し、若手農家と協力しながらベニコマチの存続と知名度アップに奔走する。
まだ見ぬ美味しさを語り明かす
「ベニコマチの注文に、すぐに対応できるよう貯蔵庫を建てたんです」
と言いながら芋掘り機を動かすと、ベニコマチの
平川さんは今から8年前、結婚を機に就農した。いずれ農業をやるなら早い方がいいだろうと思ったという。就農してベニアズマやショウガ、ニンジンなどを作っていたが、ある時、道の駅で売られていたベニコマチが高値で取り引きされているのが目についた。
「希少さ故に値段が高いことに気づきました。改めてベニコマチを味わうと、繊維がきめ細かくて筋っぽくないから、なめらかで上品な味なんです。早速、約1000平方メートルから栽培に取り組みましたが、始めは出来が悪て。作るのが本当に難しいので、家では“気難しい女王様”って呼んでますよ」
サツマイモの女王と呼ばれるベニコマチは、芋が曲がり、細長くなりやすいだけでなく、地中の芋がなくなってしまうという「つる割れ病」にもかかりやすい。栗源地域のサツマイモ生産量のうち、ベニコマチはわずか3%ほどしかなく、いかに希少な芋かが伺える。かつて平川家でも一度は断念したベニコマチ栽培に、若い智章さんが就農以来挑み続けている。
以前から「ベニコマチの里」として知られる栗源は開墾地が多く、やせた土地でも育つサツマイモの栽培が盛んに行われてきたという。昭和43年に県の農業改良普及所から新品種ベニコマチが栗源に持ち込まれ試験栽培が始まり、食感と味の良さから徐々に栽培農家が増えたのだ。しかし、昭和53年頃、病気に強く、収量が安定したベニアズマが登場すると、ベニコマチの生産量は極端に減ってしまう。それでも、サツマイモとしての評価は高かったため、町でも品種改良や栽培技術の向上を図ってベニコマチを守り、昭和61年にはベニコマチの焼き芋を目玉にした「ふるさといも祭」がスタートした。
しかし、ここに来て実質的にベニコマチを守ってきた農協ベニコマチ部会の部会長が1年近く不在となった。栗源を代表する作物だけに皆で気をもみ、平川さん自身ももどかしさを感じていた。そこで今年4月、農協の会議で部会長に名乗りを上げた。
「栗源で守られてきた品種です。途絶えないように、そしてもっと知名度を上げていければと思っています。私自身、有機肥料を与え、質の良い種芋を選ぶなどし、作るからには、どこよりもいい芋を作りたいし、作っているという自負もあります」
今年の栗源のふるさといも祭でも、「日本一の焼きいも広場」で約4トンのベニコマチが振る舞われる。少ない生産量の中での大盤振る舞いから生産者の気概が伝わってくるだけに、ホクホクなサツマイモがさらに愛いとおしく感じられそうだ。
ベニコマチ
道の駅くりもとで購入できます。栗源のふるさといも祭では、すくもで焼き上げた焼き芋が振る舞われます。
箱入り
芋掘り機で収穫
広がるサツマイモ畑
掘り出されたベニコマチ
水洗いした芋
水洗い後、コンテナに
新設した貯蔵庫
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